オンラインカジノの逮捕事例一覧

オンラインカジノの逮捕事例の一覧を紹介します。逮捕事例の具体的な内容や摘発された理由を実際のニュース記事や法律から解説するので参考にしてください。

オンラインカジノの逮捕事例

オンラインカジノの逮捕事例

これまで起きたオンラインカジノの逮捕事例を6つ紹介します。

逮捕事例内容
スマートライブカジノ事件単純賭博罪の容疑で日本人プレイヤー3名が逮捕
(2名:罰金、1名:不起訴)
山口県阿武町4630万円誤送金事件電子計算機等使用詐欺罪で1名逮捕
歌舞伎町インカジ店摘発事件違法賭博店の経営者と居合わせたプレイヤーが現行犯逮捕
ドリームカジノ事件国内のオンラインカジノ運営者を逮捕
台湾ユースカジノ・エルドアカジノ事件台湾でユースカジノとエルドアカジノの運営関係者が逮捕
NetBanQ事件オンラインカジノ決済サービスNetBanQの日本人運営者を逮捕

事例①スマートライブカジノの日本人プレイヤー3名が逮捕

日本人プレイヤー3名が逮捕されたスマートライブカジノ

2016年にスマートライブカジノというオンラインカジノを利用していた日本人プレイヤー3名が単純賭博罪の容疑で逮捕されました。

オンラインカジノの利用が賭博とみなされて逮捕された初めての事例です。

京都府警は、海外にサーバーがあるオンライン・カジノ(賭博サイト)に日本からアクセスし、ブラックジャックで金銭を賭けたとして、埼玉県の男性ら3人の自宅を強制捜査したということです。

出典:Yahoo!ニュース | ネットカジノ利用者の摘発 単純賭博罪はこのままでいいのか

スマートライブカジノの運営拠点は海外にあったものの、実質的な運営は日本で行われていると警察が判断したことで逮捕に至ります。

逮捕された3人のうち2人は略式起訴を受け入れ、罰金を支払いました。

「略式起訴」とは、検察官が簡易裁判所に対して、略式命令により被疑者に刑罰を科すことを求めることをいいます。

引用元:法律相談ナビ|略式起訴とは|正式起訴との違い・手続き・注意点などを解説

しかし残る1人は略式命令を不服として、裁判で争う姿勢を見せます。ギャンブルに精通する津田弁護士を付けて徹底抗戦し、最終的には不起訴処分を勝ち取りました。

私は昨年から,いわゆるオンライカジノをプレイしたとして賭博罪の容疑を受けた人の弁護を担当していたのであるが,これにつき,不起訴を勝ち取ったのである。

引用元:麻雀プロ弁護士津田岳宏のブログ|不起訴の勝ち取りーオンラインカジノプレイヤーの件

不起訴処分ということは、他2名の略式起訴も含めて有罪か無罪かを決定する裁判が行われていないということです。

以降は1人として、オンラインカジノのプレイを理由に賭博罪で逮捕された事例はありません。

事例②山口県阿武町で4630万円の誤送金を受けた男性が逮捕

2022年には山口県阿武町で新型コロナ給付金4630万円の誤給付を受けた男性が、資金をオンラインカジノに入金したことにより逮捕されたという事件がありました。

山口県警は18日、誤給付の金と知りながら移し替え不法に利益を得たとして、電子計算機使用詐欺の疑いで、この住民の無職、田口翔容疑者(24)を逮捕した。

出典:日刊スポーツ | 2022年5月18日

しかし逮捕時の罪状は「賭博罪」ではなく「電子計算機等使用詐欺罪」です。

電子計算機使用詐欺とは、簡単に言うとコンピューターに虚偽の情報を入力したり読み取らせて、または、コンピューターに不正の指令を与えて、財産上の利益を得る犯罪です。

引用元:電子計算機使用詐欺とは?判例をふまえてポイントをわかりやすく解説 | 逮捕・示談に強い東京の刑事事件弁護士 (wellness-keijibengo.com)

オンラインカジノに入金、さらに賭けたことが明らかにもかかわらず、賭博罪では逮捕されていません。

ちなみに本記事執筆時点で本件の裁判は継続していますが、争点となっているのは「電子計算機等使用詐欺罪で有罪に問えるか否か」という点です。

つまりオンラインカジノで賭けたこと自体は、裁判でも争点とされていません。

事例③国内最大規模のインカジ店でオンラインカジノをプレイした4名が現行犯逮捕

2023年1月30日には東京新宿の歌舞伎町において、オンラインカジノで賭博を行った4名が現行犯逮捕されました。

しかし逮捕に至ったのは、オンラインカジノで賭けていたからではなく、違法賭博店で賭けていたことが理由です。

人見容疑者らの逮捕容疑は今年1月30日、店舗で客を相手にスロットをさせた疑い。

引用:歌舞伎町のカジノ店摘発  – Miyanichi e-press

元々警察は賭博店の経営者を摘発しようとしていたところ、運悪く居合わせた4人の客も逮捕されることとなりました。

オンラインカジノ関連の逮捕事例ですが、利用者が逮捕されたのは「インカジ」でプレイしていたためです。

ほかにもインカジ利用者や経営者の摘発事例は、日本各地で毎週のように起こっています。

ちなみに本件がニュースで報道されたのは逮捕から4日後の2月2日ですが、この時点ですでに利用者の4名は釈放されていました。

仮にインカジを利用して逮捕されるのだとしても、経営者に比べて利用者の罪はずっと軽いということでしょう。

事例④ドリームカジノの運営者が逮捕

運営者が逮捕されたドリームカジノ

2016年にはドリームカジノというオンラインカジノを運営していた人物が逮捕されました。

逮捕されたのは坂本拓也氏で、オンラインカジノ業界では悪名高く有名な人物です。

インターネットのオンラインカジノサイトを運営し客と賭博したとして、京都府警は10日、常習賭博容疑で、大阪市中央区本町橋の会社役員、坂本拓也容疑者(39)ら実質運営者5人を逮捕したと発表した。

出典:産経新聞 | オンラインカジノ運営業者を逮捕 全国初…国内運営と判断

ドリームカジノ自体はオランダ領キュラソー島のライセンスを受けていました。しかし実質的には大阪市天王寺区の事務所で運営されていたため逮捕に至っています。

そもそも日本では刑法により賭博が禁じられているため、店舗型のカジノを運営することも、無店舗型のネットカジノを運営することも当然違法です。

ただし、あくまでも運営側が逮捕されたというだけで、ドリームカジノの利用者からは逮捕者が出ていません。

事例⑤台湾でユースカジノ・エルドアカジノの運営関係者が逮捕

2022年の11月には台湾でユースカジノとエルドアカジノの運営関係者が逮捕されました。

一気に40名以上の人が逮捕され、さらに台湾のニュース映像ではエルドアカジノ、ユースカジノの公式サイトが使われていたことでも話題になりました。

ちなみに逮捕された人物の一人は坂本拓也氏であり、ドリームカジノの運営者と同じです。しかしその後も特に問題なくユースカジノとエルドアカジノは運営が続いています。

運営の本体ではなく、マーケティングを外注していた下請け会社が摘発されたに過ぎないためです。

既にユースカジノもエルドアカジノも、摘発された下請け会社とは提携を解消しています。

この度、ニュースで報道されたカジノサイト摘発の件についてご説明させていただきます。

当サイトはマーケティングの一部を社外外注させていただいております。本件についてはこちらにて外注先に確認いたしました所、マーケティングの外注先の下請け会社が台湾にありましたとのことです。

外注先のチェックに不備があったこと、また事実確認に時間を要しまして皆様にご不安な思いをさせてしまったこと、心よりお詫び申し上げます。

現在はすでに当外注先との提携関係を止めており、今後終了させていただきます。

今後はこのような不備が起きないように慎重に提携相手を選び、対策を講じてまいります。

出典:エルドアカジノ | お知らせ

事例⑥NetBanQ(決済サービス)の運営者が逮捕

運営者が逮捕されたNetBanQ

2016年2月にはNetBanqというオンラインカジノの決済サービスを運営していた日本人2人が逮捕されました。

オンラインカジノが利用できる国内口座サービスを運営し客に賭博をさせたとして、千葉県警サイバー犯罪対策課は15日、常習賭博の疑いでさいたま市浦和区本太1、通信会社役員、益田伸二(50)と埼玉県蓮田市見沼町、自称会社員、島田賢一(43)両容疑者を逮捕した。

出典:千葉日報 2016年2月16日

エコペイズを日本人が運営していて、その運営者が逮捕されたというイメージです。

しかしNetBanq事件も逮捕されたのはオンラインカジノの利用者ではなく、運営側の人間です。

厳密に言えばオンラインカジノを運営していたわけではないものの、実に1,000人以上もの顧客にオンラインカジノをプレイさせたことにより常習賭博の疑いで逮捕されました。

しかしNetBanq事件においても、NetBanqを活用して実際にオンラインカジノで賭けていたプレイヤーからは逮捕者が出ていません。

プレイヤーの逮捕事例はあるが法律上はグレーゾーン

上記で紹介した通り、オンラインカジノのプレイヤーが逮捕された事例はあります。

しかし日本国内においてのオンラインカジノは100%違法とは言いきれず、実際にはグレーゾーンです。

裁判で争う姿勢を見せたら不起訴になった

事例①で紹介した通り、スマートライブカジノ事件で逮捕された1名のプレイヤーは、逮捕を不服として徹底的に争う姿勢を見せました。

そして最終的には裁判が行われない不起訴処分を勝ち取っています。

「不起訴処分」とは、起訴をしないこと、すなわち、検察官が裁判所に対し訴えを起こさないと決定したことを指します。 不起訴処分となった場合は、捜査機関による捜査がそこで終了となり、裁判を受けることもなくなります。

引用元:不起訴処分とは

刑事裁判での有罪率は99.9%と言われていますが、検察側はオンラインカジノのプレイが100%違法と断言できなかったのでしょう。

万が一にも裁判で無罪になればメンツにも関わってくるため、確証がない状況で強気には出られません。

検察が100%違法と言えなかったのは、そもそも賭博罪が胴元を摘発する目的があるという理由もあります。利用者の責任をはあくまでも付随的なものです。

賭博行為について,刑事責任のメインは開張者(胴元)が負うのであり,賭博者(客)が負う責任はある意味で付随的である。

引用元:不起訴の勝ち取りーオンラインカジノプレイヤーの件 | 麻雀プロ弁護士津田岳宏のブログ (ameblo.jp)

スマートライブカジノの運営者を逮捕できないにもかかわらず利用者だけを逮捕するのは、誤った法解釈になってしまうこともあり不起訴処分が下されたのでしょう。

警察庁が「オンラインカジノは違法」とアナウンスしているが逮捕者は出ていない

2022年10月には警察庁が「オンラインカジノは違法(犯罪)」というメッセージを公式に発信するようになりました。

警察庁が「オンラインカジノは違法(犯罪)」というメッセージを公式に発信

またNHKのクローズアップ現代などを始め、オンラインカジノの違法性に言及する特集を組むメディアも増えています。それでもオンラインカジノの利用者から逮捕された事例は増えていません。

インカジの経営者やインカジの利用者が逮捕されているだけです。

実際のユーザーは多く存在する、違法性に関する発信もしている、それでも逮捕できないというのは、現行法の下ではオンラインカジノのプレイが賭博罪に抵触しないと言っているようなものです。

パチンコ業界の権益を守るためにオンラインカジノを貶めている?

警察が熱心にオンラインカジノの違法性を訴えているのは、警察が管轄しているパチンコ業界の権益を守るためという理由も考えられます。

同じギャンブル産業においてオンラインカジノはパチンコにとっての強敵です。

パチンコ業界と警察に癒着があることは有名な話で、警察としても最大限パチンコ業界を守りたいと考えているのでしょう。

だからこそオンラインカジノの違法性を強く発信することで、ユーザーがオンラインカジノから離れることを狙っているのかもしれません。

「闇カジノ」「インカジ」もオンラインカジノと呼ぶようになった

店舗で行われるカジノは「闇カジノ(インカジ)」と呼ばれる、完全違法なサービスです。

一方、オンラインカジノはネット上で行われるもので、グレーゾーンの立ち位置です。

2つの定義は明確に異なり、一括りにまとめられるものではないはずです。

闇カジノ
(インカジ)
  • 実際の店舗があり、店先でチップやコインを購入して店内で遊戯を行う
  • 利用するのは店側の保有するアカウント
  • ゲームを通じて稼ぎを得たら、店内で換金できる
オンラインカジノ
  • ネット環境があればどこでもプレイできる
  • 自分自身でアカウントを作成し、ネット上で入金した後にプレイする
  • 獲得した勝利金はその場で換金できず、電子ウォレットや銀行口座に送金する

しかし最近のニュースでは、闇カジノも「オンラインカジノ店」と呼ばれています。

山口県阿武町の誤送金問題でオンラインカジノが有名になり、マスコミが興味を引くために無理やり名前を使ったり、警察庁や消費者庁が取り締まり強化のために印象操作している可能性があると考えられます。

警察庁の公式サイトではオンラインカジノの検挙事例が公開されていますが、文言を見てみると、インカジの摘発事例であることも分かります。

オンラインカジノに係る賭博事犯の取締り状況